書くこと、賭けること

どうもはじめまして。スロ小説家のブログです。

すべての書かれたもののうちで私が愛するのは、自分の血で書かれたものだけだ。
血で書け。そうすればきみは、血が精神であることを経験するだろう。

フリードリヒ・ニーチェ 永井均訳
「ツァラトゥストラはこう語った」
読むことと書くこと、より

短期集中連載「役者だった頃」

第五十話「そこは魔窟ぞ(恥さらし最終回)」

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「うさぎの穴に落ちて」アーサー・ラッカー

役者の面白みというのは、ここではないどこか、自分ではない誰かに瞬時になれるところではないか。それは言うなれば、人生の別の可能性に触れる、ということではないか。


でもそれは、役者に限ったことではない、役者としての才能のなさを棚に上げてぼくは思ったのだった。


どうやらぼくは、演技では矯正できない心根の持ち主だった。
なぜかぼくは憤慨していた。やりたいことを探す、という言葉に、そもそも矛盾があるのだ。やりたいことは、もうすでにやっているに決まってるじゃないか。


ぼくの場合、それは文章を書くことだった。

しいて言えば、やりたいのは、スロットだった。


その後、本当に人生すべてを文章に賭けようと決めるまでには、幾つもの挫折をくりかえすことになるのだが、ともかく、そのような自己確認の後、ぼくはパチンコ屋でのアルバイトも、演技も、やめることにしたのだった。


アリスはウサギを追って不思議の国に入る。ぼくは獣を追って芸能界という穴に落ちた。そして、その穴から抜け出たと思いきや、気づくと別の穴に落ちていた。
 

この文章を見ている方の中に、やりたいことがあって、何かの穴に入ろうとお思いの方がおられるかもしれない。

だが、そこは、魔窟ぞ。


……少なくとも、魔窟の可能性大、である。
 

永遠に日の目を見ない、日の光を浴びることができない可能性がある。普通の幸せが手に入らない可能性がある。


それでもぼくはこの穴の中の住人として生き、死んでいこうと思っている。

拙文を読んでくださって感謝します。 

短期集中連載 終 

poti. 寿


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第四十九話「一日限りのスロッター(恥さらし6)」

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役者生活の中で、一日だけスロットをした日があった。
 

2001年(たしか秋)、日本列島が揺れたネタ。そう、サミーショックである。
 

コピー打法(ウィキペディア)

深夜、ずいぶん会っていなかった以前のスロ仲間から電話があった。「すごいネタがある」興奮を隠し切れない声で彼は言った。「すべての小役が、次のゲームでコピーできるんだ」

「は? それって、単純にコイン持ちが倍になるってこと?」

「倍以上、だな」
「メーカーは?」

「サミー」

「たとえば獣王の完全ハズレも?」と聞いた。やはりサミーといって、出てくるのはまず獣王だった。
「できる」と彼は答えた。

「抽選確率が二倍になるってことか。ボーナスは?」

AT中に持ち越す機種ならいける」

「ハードボイルドだったらボーナスもコピーできるってこと?」

「ああ」

「やばくね?」

「やばい」


翌日、車に乗りこみ、ぼくたちはすべてのフラグがコピーできるという夢の打法を求めて出発したのだった。

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第四十八話「乞食と役者は三日やったらやめられないというけれど(恥さらし5)」

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「鍬を持つ男」ジャン=フランソワ・ミレー

その頃、ぼくの経歴はこんな風になっていた。


テレビドラマ、Vシネマ、映画、CM等多数出演(ほとんどエキストラ)

バラエティ番組の名前複数 (やらせ要員)

舞台「怪人百太郎の丸秘事件簿」北別府吾郎役 (すべて仮名)

舞台「ナスビ婦人と黄金色」達川太一郎役 (すべて仮名)


こんな役者、ぼくがスタッフ側だったらいらない。


あまりいい思い出がない役者生活ではあったが、講師に言われたことを、今でも思い出すことがある。


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第四十七話「Oくん逃げ出す(恥さらし4)」

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さて、みなさん、真顔で芸能人になりたいと言う人間に会ったことはありますか?

いやあ、それはもう、とてつもなく太い神経の持ち主である。


ただただテレビが好きで、芸能界が好きで好きでしょうがなく、ついでみたいな感じで演技をしようとスクールに入ってくる人物はけっこういた。ぼくはポール・ニューマンになりたかったのだ。彼のしぐさに憧れて、彼のようなかっこいい人間になりたくて、この世界に入ったのだ。当然、話が全然合わなかった。
 

その筆頭がOくんである。

Oくんとは一緒にレッスンを受け、一緒に芸能界最下級戦士の仕事をこなした。ぼくが疲弊しきっているときも、彼は嬉しそうだった。だって芸能人に会えるじゃん、が口癖だった。


そのうちに、Oくんはこんな風に思ったのだろう。おれがしたいのは演技ではなく、芸能界の近くにいることだ、と(たぶん)。

で、彼は早々に役者をあきらめ、マネージャーに転身したのだった(彼曰く、スーツを買ったらなれたらしい)。そしてやっすい給料をもらいながら、「今日はザギンっすか、ギロッポンっすか、テッペン回るっすか?」真顔でそんな発言をするようになった。

おまえ正気か? と思った。
 


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第四十六話「ブラック企業もびっくりのお仕事(恥さらし3)」

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「アブサント」エドガー・ドガ

さて、無事スクール的なところにもぐりこみ、役者見習いになったぼくは、レッスンの鬼と化し、スロットをきっぱりやめた。


レッスンは希望専攻別(主に俳優、モデル、歌手)に分かれており、演技(映像)、演技(舞台)、ウォーキング、ボイストレーニング、ジャズダンス、コンテンポラリーダンス、とあり、これらを力尽きるまで受けることにした。


が、そのうちに生活資金に困るようになる。といって、スロットをする時間はない。いや、獣を追って穢れてしまった今の自分では、またぞろAT機打ちてえ病が再発するのが目に見えていた。 獣王に端を発した出玉の加熱は、スロット史上最恐時代の幕を開きつつあったが、ぼくにはやるべきことがあった。

ということで、演技にまつわる仕事をもらうようになる。


芸能関係のお仕事である。

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作者 寿
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ふと思う。スロ歴ってどれくらいなんだろう? 今年で20年? そんな経つ? ピーいれたいね。スロットばっか打ってるわけじゃなくて、普段は小説書いてんすよ。ちっとも売れないけどね。つうか売ってないしね。けどこのブログだと読めんすよ。フォウ!

ブログポリシー「my rights sometimes samurai!」
当ブログは、寿という人でなしが小説を書くなかで、
また、スロットを打つなかで、
はみ出たものを一所懸命につづったものです。
基本的に毎日更新してはいますが、
毎朝グビグビ飲めるというほどあっさりした、
また、健康的な文章ではありません。
油ギトギトのラーメンというほどではないと思いますが、
胸焼け、食あたりを起こす可能性がある由、ご留意くださいますよう。

また、コメントは大歓迎です。
引用ももちろん大歓迎ですが、引用元の記事を明記していただけると幸いです。
それでは今日もはりきって行きましょう! どこへ? パチンコ屋へ。
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