できれば目的地までの最短距離を進みたい。そう思うのは人のサガ。
どこかに抜け道はないか? 裏道はないか? そう考えるのは、人の業。
が、最短距離とは何だろう? 瞬間移動のことだろうか? 結果論でいいのだろうか? 違うね。
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書くことを賭ける。賭けることを書く。とどのつまりは遊び。Life is the gambling you know?
「三代目大谷鬼次の江戸兵衛」東洲斎写楽
自分としては、何も悪いことをしていないはずなのに、状況が悪くなってしまうことが、人生に時折訪れる。
ぼくの場合、この文章を書いている今である。
書きかけの小説が遅々として進まない。
二ヶ月ばかりスロットがふるわない(昨日もバジリスク2で1262ゲーム目に強チェリーを引き、もしかしたら届いているかも、という期待を粉々に打ち砕く単発)。
体調が優れない。
寒い。
まあ、文章にしてみると大したことでもない。
こんなときは往々にして、今どん底だと思っているこの地点から、さらに下の世界があるものだ。その世界では、文章にできないくらいしんどいことが待っているのだろう(たとえば何が?)。
わからない。
が、備えあれば憂いなし。
ということで、備忘録から言葉を取り出してみる。
「起きていることはすべて正しい」 勝間和代
「前を向くしかなかった」 香川真司
「わたしは、今までに、一度も失敗をしたことがない。電球が光らないという発見を、今まで二万回したのだ」 トーマス・エジソン
「いや、今は野球のことなど考えている場合じゃない。老人は思う。今は、ただひとつのことだけを念じていなければならないのだ。そのためにおれが生まれてきた、ただひとつのことを」 老人
出典一覧 敬称略
勝間和代は新書のタイトル
香川真司はテレビのインタビュー
トーマス・エジソンはネットから
太字は「老人と海」アーネスト・ヘミングウェイ
スランプの最終地点は絶望だと思う。
では、絶望とは何だろう?
「絶望とは何だ」と野宮朋美は考える。彼は高校を中退し、プロバスケットボールプレイヤーを目指し、トライアウトを受けている。
そして、その最終審査、トップチームとの試合中、相手のポイントガード(野宮とポジションのかぶる、チームのエースである)に跳ね飛ばされ、コートにはいつくばって考える。「絶望ってのはあれだ」野宮朋美は思い出す。自分の運転したバイクが事故を起こし、後ろに乗せた女の子が投げ出され、半身不随になってしまったことを。「これは違う」野宮朋美は思う。「これは幸せって言うんだ」そして、野宮朋美は立ち上がるのである。
井上雄彦「リアル」11巻より
とにかく何かを考える余裕がある時点で、それは絶望ではないのかもしれない。
自分がやっていることを、特別だと考える。寿