書くこと、賭けること

どうもはじめまして。スロ小説家のブログです。

すべての書かれたもののうちで私が愛するのは、自分の血で書かれたものだけだ。
血で書け。そうすればきみは、血が精神であることを経験するだろう。

フリードリヒ・ニーチェ 永井均訳
「ツァラトゥストラはこう語った」
読むことと書くこと、より

パチ屋百景

第五十二話「生きる」

昔の話。
時々一緒にスロットを打っていた先輩が、某掲示板で叩かれていた。
カスだの、店員とグルだの、サクラだの(同義語)、変な服だの、と。

カスだの変な服だのというのは人の主観だし、プライベートな部分はわからないが、少なくともパチンコ屋の回し者でないことは間違いなかった。

大きく勝つとお金をばらまくように使う人だった。万馬券を取ったときは、キャバクラでシャンパンを何本も頼み、飲めや歌えやと大盤振る舞い、その日のうちにお金を使ってしまった。
ノリ打ちなのに、みんなのコインでコーヒーだのホットドッグだの、梅コブ茶だのを飲む人だった。

最後に会ったのはたしか北斗SEの新装のときだった。

「クソだな。これ」と言って、台をぶん殴って、手を傷めていた。

以来その人とは会っていない。
ぼくは仕事に専念したこともあってパチンコ屋から遠ざかってしまったし、先輩もギャンブル性が足りないと言ってスロットを打たなくなった。今何をしているかは知らない。

時を経て、ぼくは再びパチンコ屋にいる。そしてギャンブル性の乏しい行動に終始している。
とはいえ、パチンコ屋の中の日常とは、理不尽の連続である。むしょうに何かを批判したくなったり、誰かを非難したくなったりすることがある。そんなときはいつも「グレート・ギャッツビー」の以下のごとき文章を思い出すようにしている。

”僕がまだ年若く、心に傷を負いやすかったころ、父親がひとつ忠告を与えてくれた。その言葉について僕は、ことあるごとに考えをめぐらせてきた。
「誰かのことを批判したくなったときには、こう考えるようにするんだよ」と父は言った。「世間のすべての人が、お前のように恵まれた条件を与えられたわけではないのだと」” スコット・フィッツジェラルド 村上春樹訳

恵まれた条件とは何か。それはただひとつ、今生きていることだと思う。

二〇一四年 三月十一日 寿

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第三十五話「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」

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「三代目市川八百蔵の武部源蔵と岩井喜代太郎の戸波」歌川豊国

記憶の中の自分の立ち回りを思い出すと、正直、恥ずかしい。
が、そこから教訓を引き出すことも可能だと思う。


まだパチンコ屋に通い出して間もない頃、そこそこに回るCR機にありつきウキウキ打っていると、変なおっさんがにやにやしながら近づいてきて、確変中の台を指差して、これ、やるかい? と言った。
「私は用事があって、この後行かないといけないんだ」



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第十八話「理不尽すぎる。カフカか」

初代ハナビで一撃2000枚くらいのコインを得たことがあった。

すると、「おい、てめー態度わりいんだよ」と隣の客に言われた。

「はい?」とぼくは返した。

彼の言っている言葉の意味がよくわからなかったからだ。

「だから態度、態度だよ」

「はい?」

「殺すぞ?」

「はい?」

男はタバコの煙をふうぅとぼくの顔に吹きかけて、もう一度同じ台詞を言った。「態度わりいんだよ」



また、とあるホールでアルゼの「バイオメサイア」を打っていた日のこと。
美しいリーチ目が出て、フラッシュで祝福された。
首尾よくビッグボーナスだった。
ぼくはいつものようにボーナスゲームをこなしていった。

と、どこからか怒鳴り声が聞こえ、見るとパンチパーマの店員が、今から鬼を殺す予定でもあるかのような顔でぼくの顔をにらんでいた。
「コルァー」
「はい?」とぼくは返した。
彼が何について憤慨しているか、皆目検討がつかなかったからだ。 

「出禁にすんぞコラ」

「はい?」

「リプレイは、外すな」

「……はあ」


そんな張り紙どこにもないけどなあ、と思いつつ、ボーナスゲームを消化していると、隣のおじさんの台にリーチ目が。ボーナス確定である。
 
おじさんはボーナスを揃えられずにオロオロしていた。 

リールが黒いうえにチカチカしているため見づらかったのかもしれない。
ぼくはおじさんに「揃えましょうか」と聞き、頼むわ、と言われ、トン、トン、トン、とゴシック調の赤黒い7を揃えた、その瞬間だった。

「コルゥア」という声が聞こえた。
 

さっきの店員が、鬼をミナゴロシにした後、さらに大ボスを倒しに行くかのごとき構えで立っていた。

「コルゥア、こんガキ、アホンダラ、店やったら他にナンボでもあるやろ。ここは目押し禁止の店やねや。出てけボケが。コラ。カス」


ぼくはボーナス終了後、400枚弱のコインを下皿に残したまま席を立った。そして二度とその店に行くことはなかった。


何が良くて何が悪いのかもわからなかった若き日のことである。

 

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第十四話「時間泥棒」

 先日、パチンコ屋の待合室でスポーツ新聞を読んでいたところ、

「久しぶりー」と声をかけられて、顔を上げた。


ぼくはパチンコ屋で他者とコミュニケーションをほとんどとらない人間であるから、当然、その声をかけてきた人は知らない人である。


目が合って、時が止まった。

往年のグレイを彷彿とさせるような髪型のビジュアル系男子である。あるいは狩野英孝風のギャル男である。

ぼくの好きな言葉で言うところの境界線上の人物である。


それはせいぜい一秒か二秒の間だった。


「させん。間違えました」と男は言って、すたすたと去っていった。


これが世に言う時間泥棒の手口である。


一秒か二秒か。

あの止まってしまった時間を返して欲しい。心から。


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第十二話「メロンソーダは何の味?」

今は昔、朝からハナビ(初代)の設定6を打っていたときのこと。



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作者 寿
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ふと思う。スロ歴ってどれくらいなんだろう? 今年で20年? そんな経つ? ピーいれたいね。スロットばっか打ってるわけじゃなくて、普段は小説書いてんすよ。ちっとも売れないけどね。つうか売ってないしね。けどこのブログだと読めんすよ。フォウ!

ブログポリシー「my rights sometimes samurai!」
当ブログは、寿という人でなしが小説を書くなかで、
また、スロットを打つなかで、
はみ出たものを一所懸命につづったものです。
基本的に毎日更新してはいますが、
毎朝グビグビ飲めるというほどあっさりした、
また、健康的な文章ではありません。
油ギトギトのラーメンというほどではないと思いますが、
胸焼け、食あたりを起こす可能性がある由、ご留意くださいますよう。

また、コメントは大歓迎です。
引用ももちろん大歓迎ですが、引用元の記事を明記していただけると幸いです。
それでは今日もはりきって行きましょう! どこへ? パチンコ屋へ。
1日1回のポチを。
血がたぎります。

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