書くこと、賭けること

書くことを賭ける。賭けることを書く。とどのつまりは遊び。Life is the gambling you know?

「寿という言葉は経験による人の円熟という意味に使われていた」
「成功は、遂行された計画ではない。何かが熟して実を結ぶ事だ。其処には、どうしても円熟という言葉で現さねばならぬものがある。何かが熟して生れて来なければ、人間は何も生むことは出来ない」

小林秀雄「考えるヒント」より

日記

酒と二日酔いと経済の関係

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昨日はたくさん文章を書いたので、気分がよくなってしまった。

せや。体調が治ったら飲もうと思って、夏の楽天セールでせっせと酒を買っていた。そのコレクションから1本を取り出してみる。シャンパーニュと同じ製法でつくられたスペインのスパークリングワイン。CAVA。久々の酒はやーばいくらい美味かった。たちまち1本が泡と消え、今度はバーボンの封を開け、国産の発泡水と合わせてハイボールをつくってクピクピ飲んだ。

気づくと朝の6時半。ひどく気分が悪かった。おまけに、Tシャツ、トランクスという格好で、寒い。飲みすぎたことのざんげをはじめる。すいません。申し訳ありません。誰に? 知らん。痛む頭を抱えながら立ち上がり、水を飲んだ。それから胃薬を流し込む。二日酔いは、水分と薬と時間だけが解決してくれる。ようやく人心地つき、パソコンに向かってこの文章を書き始める。

トーマス・セドラチェックという経済学者は、借金とお酒は似ている、と言った。

金曜の夜にバーに行く。お酒がおいしい。そのときこう思う。自分は歌える。踊れる。口べただがしゃべることができる。お酒からエネルギーをいっぱいもらえる。


でもそれは誤解です、と経済学者は言う。

お酒からエネルギーをもらっているのではなく、翌日の土曜の朝のエネルギーを金曜の夜に移動させているだけ。週末のエネルギーの合計は一定です。借金も同じ。金がなくなると銀行や友人から借りたり、最悪の場合は姑から借りたりします。しかし、実際には、私の未来から現在に金を移しただけです。

朝日新聞デジタルより

30代からの人間の体力と、今の日本の経済状況は、似ている。ような気がする。
二日酔いの頭で考えても、極端な成長は望めそうにない。(ドラゴンボールか、ドラえもん的な超絶イノヴェーションが起きない限り)1950年代60年代のような景気はありえない。領土が拡がることもない。移民を受け入れることもなさそうだ。であれば、喪失を、縮小を、受け入れるしかないのだろう。

たぶん、ぼくは30代後半の男性の小説を書くことによって、モデルを探しているのだと思う。どんなオッサンであればゆるされるのか、あるいは、生きやすいのか、ということについて。

それにしても……。うぷ。
過去の自分から気持ち悪さのプレゼント。おそらく、調子乗りのぼくにはこの時間が必要なのだ。 謙虚にしかなれない鬱状態が。

さあ、頑張ろう。

つづく
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圧倒的後悔


小学生の頃、初めて歯を麻酔して、無痛という感覚が面白くて、歯医者を出た後で、がんがん顔面を叩いたことがあった。歯茎から血が出てきた。でも、痛くない。何だこれ? がんがん。がんがん。不思議な優越感だった。もちろん偽りの優越感である。少し経つと、激しい痛みが襲ってきた。大後悔時代。アホじゃないか? こんなこと、少し考えればわかることじゃないか。

そして二十数年が経った。 胃カメラを飲んだ後、まだ麻酔でフラフラしていたぼくは、パチ屋に入ってバジ絆を打った。しっかり期待値は追ったが、負けた。パチ屋を出て、歩くことにした。ご飯は食べられますよ、と言われていたから、何かを食べようと思ったのだ。

歩いて歩いてパチ屋に入った。打てる台がないのでマンガを一冊読んだ(何を読んだかは覚えていない)。それからパチ屋の外に出た。さて、何を食べよう。正直、胃カメラのことで、ここしばらくは陰鬱な気持ちだった。作用、反作用。何か祝祭的なことをしたかった。しかしアルコールは禁止されている。

ということで、しばらく行ってなかったお気に入りのラーメン屋に入ることにした。15時を過ぎているのに満席である。2分ほどで席が空く。バジ絆ではダメだったが、ここはツイている。

昨日の夜から水以外何も口にしていない。ということで、普通のラーメンを注文。一応、気を使ったのだった。しばし待ち、ラーメンが到着。久しぶりの味に祝福され、完食(もちろんスープは飲んでいない)。

再び歩いて家に帰る。もう疲れた。久しぶりに早起きしたことだし、今日はもう眠ってしまおう。

ノドの痛みで目が覚める。ノドが痛い。ムネが痛い。ノドから伸びる一本の管が熱を持っている。何だ? 内視鏡検査を受けるにあたっての注意事項にこんなことが書いてあった。

・熱いものや刺激物を避け、消化のよいものを食べるように。

後悔をしても、遅い。ノドと胸の熱に冒されながら一夜を過ごした。小学生レベルのやっちまったー
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小説家という最後の仕事

肉体を殺すことが出来ても、魂を殺すことが出来ない者を恐れるな

イエス・キリスト

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不倫騒動の渦に沈んでいったかに見える乙武弘匡氏に向けて、瀬戸内寂聴がこんなことを言っている。

「これから生きのびるには、小説家になるしかないのでは。小説家は不倫をしようが、色好みの札つきになろうが、その恥を書きちらして金を稼いでもどこからも文句は言われないよ」

かつて知事をつとめた人の本にも、「作家は人を殺したってそのことを書けばいい」というような言及があったが(うろ覚え)、それは極論にしても、世界から孤立してもできること。一人ぼっちになって初めてできること。それが文章表現である。

おれは(ぼくは、僕は、私は)過去を肯定したいわけじゃない。否定したいわけじゃない。現実がつくられた過程を披瀝(ひれき)し、今ここにある世界を更新したいだけだ。過去をなかったことにはできない。過去から目をそらすわけにはいかない。おかえりなさい。ただいま。

過去を振り返って思うのは、普通だな、ということ。まったくもって特別な体験をしていない。或る特別な使命があって行動したわけじゃない。悪意ある運命に抗うための行動でもない。結局、おれは求めてしまうのだと思う。心の欲するものを。体の望むものを。ただし、特別じゃないにしても、おれの手足は他人を傷つけ、自分を傷つける刃(やいば)になった。その傷は癒えることなく、鮮血を流し続けている。ジャングルジムはいつだって血にまみれている。おれはかつての仲間たちを許すことはできないし、小学生の頃の親友もおれを許すことはないだろう。

どうすれば不毛なジャングルジムをつくらなくて済むだろう?

ジャングルジムの別名を既得権益という。その運用体系のことを政治という。たぶんおれにはその才能がない。というか熱意がない。土台、社会は理不尽なものだ。どんなスペースにも既得権益が張り巡らしてある。ジャングルジムと関わらない人生はない。でも、ジャングルジムをつくらずに済む道はあるかもしれない。不浄なるジャングルジムをぶっ壊す。そんな光景を望む人=読者だっているかもしれない。そうだ。おれは寿という虚名で、虚構のジャングルジムを粛々と破壊していこう。

欲望を否定したところでどこにも進めない。しかし何かを手に入れた刹那、人は守りに入る。欲望は攻撃的であり、生存本能は守備的なものだ。文章を書いているときだけは前者にゼンツしたい。希望をもらった。呪いをもらった。ありがとう。さようなら。ジャングルジム、壊しに来たよ。

8/31
夏休みの宿題2016「欲望」 終
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幸せって何だっけ?

肉体を殺すことが出来ても、魂を殺すことが出来ない者を恐れるな

イエス・キリスト

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どこにいっても同じことのくりかえしだった。衝突。融合。おれはただ自分の幸せを求めただけだった。が、ジャングルジムをめぐる闘争は終わらなかった。


とはいえ、奇跡みたいなことだってあった。恋の季節、公園でワキャキャした女の子に高校生になって再会したのだった。小学5年生のおれに夢みたいなものはなかった。大人になったら自動的に家業を継ぐものだと思っていたし、特に希望のようなものはなかった。しかし彼女に対する思いは別だった。真剣だった。ずっと一緒にいられますように。神様。みたいなことすら願っていた。しかしそれは過ぎ去った過去だった。

恋の季節から5年経ったある日、その彼女から告白された。おれが何と返答したかというと、……覚えていない。ちょっと待って、とかだったと思う。なし崩し的に付き合うことになった。夢にまで見た女性との邂逅は、しかし小学生のおれが望んでいたものではなかった。というよりも、16歳のおれが11歳のおれではなかった。

付き合って半年が経過した頃のこと。
「ねえ、家出してきちゃった」
そんなパンチラインをくらったのは生まれて初めてだった。知り合って間もない女性だった。真冬だった。16歳のアオハルユースに帰れなんて言葉は出てこなかった。それは一夜のみの秘事であったが、数ヵ月後、小5時分の憧れの君とは別れることになった。理由は覚えていない。


ここまで書いて、全部一緒やないか、と思う。

おれはただ自分の幸せを求めただけだった。が、おれにとって都合のよい世界は誰かにとって都合の悪い世界だった。男も女もみんなそう。人間の欲しがるものが似通っている以上、誰かの幸せは誰かの犠牲の上に成り立っている。幸せを求めることが不幸せの入り口だとしたら、人生のどこに救いがあるのだろう?


つづく
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8/30

夏休みの宿題2016

真っ赤な美しい火になって燃えて夜の闇を照らして



肉体を殺すことが出来ても、魂を殺すことが出来ない者を恐れるな

イエス・キリスト
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ついにその順番がやってきた。今まで何人も、その状態に陥った人間を目撃してきた。登校拒否をするやつもいたし、別の世界に居場所を移したやつもいた。無視するほうは、理由が重要なわけではないのだ。太平洋戦争と同じだ。戦争した事実はあっても、首謀者の存在は明るみに出ない。ともあれ、次はおれがハブられる番だった。理由はわからない。今でもよくわかってない。しかしジャングルジムの主の座は誰かの手に渡ってしまった。このときばかりはなかったことにはできなかった。生来の運動神経も、ためこんだ知識も、おれの苗字も何の役にも立たなかった。

カブ、というタバコの遊び(というかオマジナイ)があった。当時の日本のタバコには、律儀に1本1本4ケタの数字が記してあって、その4ケタの数字を足して9か19になればカブ(オイチョカブのカブ)といって、よいこととされた。四葉のクローバーみたいなものだ。取り出したタバコの数字が9か19だった場合、その1本(最初に触った1本)は向きを逆さにしてタバコケースの中に戻す。そして裏返したタバコを最後に吸うと願い事が叶う、という、乙女の花占いのような願掛けが流行っていた。イキッていたとはいえ、そこは中学生。どうか前の空気が戻ってきますように、と願いながら、ひとりこっそりタバコを吸った。もちろん願いは叶わなかった。

次に考えたのは、世界の更新だった。学校を休むことは1日もなかった。世界がよきものになりますように。この世界がよりよきものになりますように。そんな文言を唱えながら登下校をくりかえした。おれの祈りの原型は、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」に出てくるバルドラ野原のサソリの話だった。


「お父さんう云ったのよ。むかしのバルドラの野原に一ぴきの蝎(サソリ)がいて小さな虫やなんか殺してたべて生きていたんですって。するとある日いたちに見附みつかって食べられそうになったんですって。さそりは一生けん命げて遁げたけどとうとういたちにおさえられそうになったわ、そのときいきなり前に井戸があってその中に落ちてしまったわ、もうどうしてもあがられないでさそりはおぼれはじめたのよ。そのときさそりは斯う云っておいのりしたというの、
 ああ、わたしはいままでいくつのものの命をとったかわからない、そしてその私がこんどいたちにとられようとしたときはあんなに一生けん命にげた。それでもとうとうこんなになってしまった。ああなんにもあてにならない。どうしてわたしはわたしのからだをだまっていたちにれてやらなかったろう。そしたらいたちも一日生きのびたろうに。どうか神さま。私の心をごらん下さい。こんなにむなしく命をすてずどうかこの次にはまことのみんなのさいわいのために私のからだをおつかい下さい。って云ったというの。そしたらいつか蝎はじぶんのからだがまっ赤なうつくしい火になって燃えてよるのやみを照らしているのを見たって。いまでも燃えてるってお父さんおっしゃったわ。ほんとうにあの火それだわ。」


ああ、おれは悪いことをしてしまったのだ。だからこんなに寂しいのだ。おれはひとりのサソリなのだ。今度こそ、おれはみんなのマコトのサイワイのために生きたい。おれは一心不乱に祈りながら中学校に通った。

マコトのサイワイは得られなかった。もしかしたら、おれ以外のクラスメイトは得られたのかもしれない。だとしても、おれはそれをよかったとは思えなかった。父親がおれを地元の小学校に通わせたかった理由。それは地元に友だちができるように、という配慮だった。ずっと私立の学校に通っていた父親は、地元に友人がいないことを寂しく思っていたらしい。今のおれは割と日本の広範囲に連絡を取り合う知人がいる。が、地元にだけはいない。

つづく
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8/29
夏休みの宿題2016



引用は宮沢賢治「銀河鉄道の夜」より

青空文庫 
作者 寿
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ふと思う。スロ歴ってどれくらいなんだろう? 今年で20年? そんな経つ? ピーいれたいね。スロットばっか打ってるわけじゃなくて、普段は小説書いてんすよ。ちっとも売れないけどね。つうか売ってないしね。けどこのブログだと読めんすよ。フォウ!

ブログポリシー「my rights sometimes samurai!」
当ブログは、寿という人でなしが小説を書くなかで、
また、スロットを打つなかで、トレードをするなかで、
はみ出たものを一所懸命につづったものです。
基本的に毎日更新してはいますが、
毎朝グビグビ飲めるというほどあっさりした、
また、健康的な文章ではありません。
油ギトギトのラーメンというほどではないと思いますが、
胸焼け、食あたりを起こす可能性がある由、ご留意くださいますよう。

また、コメントは大歓迎です。
引用ももちろん大歓迎ですが、引用元の記事を明記していただけると幸いです。
それでは今日もはりきってまいりましょう! どこへ? チャートの世界へ。
1日1回のポチを。
血がたぎります。

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