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なぜ、おれの言う通りに期待値稼働をしないのか?

期待値おとこはオカルトおとこのことが不思議でならなかった。

「おれはスロット界のモンキー・D・ルフィになるんだ」

何だ、ただのキ○ガイか、とは思えなかった。

彼らは小学生の頃からの親友なのである。

 

懸案は他にもあった。


一月の収入が、去年一年間の月ベースから30%の減収だったことだ。


ヒキの弱さもさることながら、ホールにおける機種構成の問題も大きいように思う。


期待値オトコの理想とする台は、去年の機種で言えば「ミリオンゴッドゼウス」「新鬼武者再臨」「北斗の拳転生」「カイジ3」「ウルトラマンウォーズ」というようなものだ。


狙い目がたくさんある台。あるいは初当たりが出玉の直接のきっかけになる(ATまたはARTの)台。あるいは天井到達率が高い(つまり初あたりが重い)うえに大きな恩恵があるような台である。


そしてこれが最低条件なのだけど、稼働がある程度確保されている台、ということになる。

それに比べて、最近主流の台は決して期待値の取りやすい機種とは思えなかった。

  

期待値オトコが期待値稼働をはじめたのはここ二年あまりのことで、期待値稼働以外の経験に乏しく、設定というものの存在意義すらもよく理解できていなかった。


彼の中にはきわめて厳格なボーダーがあり、その線を越えていればゴー、届かなければスルー。ホールの中で考えることはそれだけだった。


が、台に座れない時間が増えたせいか、最近妙に未来のことが気にかかる。

もし天井がなくなったらどうしよう? ゾーンの概念がなくなったらどうしよう? 等価交換が禁止されたらどうしよう? 


期待値オトコが期待値稼働をはじめたのは、母の病気がきっかけだった。当時大学生だった期待値オトコが、資格や経験に左右されずに最も手っ取り早くお金を稼ぐ手段がこれだったのだ。


大学を辞め、寝食を忘れてスロットに没頭した二年間、ある程度の収入を得ることができた。母の病状は持ち直し、勤めていたパートに復帰することができた。

貯金はとりあえずあるし、さしあたって欲しいものもない。

彼女もいないし、金のかかる趣味もない。

減収とはいえ、目も当てられない収支ではない。下ぶれの可能性だって大いにありえる。


要するに、燃え尽き症候群だった。ある程度の達成感と、しかしそこから先に進むべき明確な目標が見つからず、やきもきしているのだった。



期待値オトコは考える。

おれは何のためにスロットを打っているのだろう?


無計画に、無軌道にただひたすらにスロットを打つ、それでいておれはプロだと言い張る、オカルトおとこのことがうらやましくなるときもあった。


ふう、とため息をもらしつつ、期待値オトコは見込み期待値2500円ほどのガンダムを打っている。


そこにやってきたオカルトおとこ、この台が出そうな気がする、と言って隣に座ると、千円で最強ベルが揃いARTへ。


「ニュータイプかよ」と顔をしかめる期待値オトコ。「それ、六万五千五百三十六分の一だぜ」


「ふっ」オカルトおとこはキャスバル兄さんのような顔で口角を上げる。


も、単発。

小役解除だから追ったほうがいいかも、という期待値オトコの提言によって天国まで追うも、解除せず。


「ぬおお」とオカルトおとこがのけぞった。
 

「ザマア」実に良い表情で、期待値オトコは笑ったのだった。

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