今は昔、朝からハナビ(初代)の設定6を打っていたときのこと。
すでに1000はまり以上を二度もくらっていた。はまっては連チャン、はまっては連チャン、というような、精神衛生上好ましくない展開だった。
それでも設定6はほぼ確定していたし、裏モノでないことも明らかだった。投資は15Kほど、時刻は18時、出玉は1000枚弱。さあここから、というところ。
左リールバーを狙う。右適当。ベルがテンパったら中リールに氷つきの七。
左リール単独ドンちゃんを狙う。右適当。ベルがテンパったら中リールに氷つきの七。
「目標をセンターに入れてスイッチ」のシンジくん状態でゲームは進む。
18時半。出玉は1500枚強。まだまだ行くぜ、というところ。
そのとき、ぼくの右隣にギャルというのかヤンキーというのか、境界線上の女性が着席、頭上の棚にジュースの入った紙コップを置き、ルイ・ヴィトンのハンドバッグ(モノグラム)からルイ・ヴィトンの財布(モノグラム)を取り出して、コインサンドに千円札を入れようとする、まさにそのときだった。
ばしゃん。
ぼくは「え?」と言った。
向こうも「え?」と言った。
ぼくの体には緑色の液体ががっつりとかかっていた。
一瞬でメロンソーダであることがわかった。
ぼくはスロットを打つのも忘れ、固まってしまった。
女性は持っていた店備え付けの白いナプキンをぼくに手渡して、財布をバッグにしまい、小さな声で「すいませんでした」と言い、そのままどこかに消えた。
「え?」
女性はたぶん、何か、ぼくの体を拭く何かを取りに行ったのだろう。
やがて店員がやってきて、たくさんのナプキンをぼくに手渡し、それから台やコインを拭いてくれた。
当然、ぼくはべとべと、台もべとべと、でも打たないことにはしょうがない。
打つ。べとべと。
これ、ショートしないの? 大丈夫なの?
打つ。べとべと。
コイン入れにくい。
打つ。べとべと。
べとべとべとべとべとべとべとべと……
いつまで経っても女性は戻ってこなかった。
そして持ちコインはきれいそのままそっくりすべて台の中に飲み込まれたのだった。
ゲーム数カウンタは1107を指していた。
イイオンナ? 知らん。
ぼくは席を立ち、家に帰ってシャワーを浴びて、ビールを飲んだ。なぜかメロンソーダの味がした。
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うーん、深い。。。
まさに泣きっ面に蜂ですね。と、思いましたが、最早これは『泣きっ面に蜂』では表現しきれない悲惨さ。
『泣きっ面に蜂と落石』ですねorz
多くのスロライターは『流れが変わった』と書いてしまいそうですが、当事者が過去の話をする際に『流れが変わった』と書いてしまうと、読者は『ああ、こっから展開が逆転するんだな。』と結末を予測できてしまうため、面白くなくなっちゃいますね(´・∀・`;)
筆者が『流れが変わった』と書くのではなく、読者に『あそこで流れが変わった』と感じさせる文章が本当に秀逸だと思いました。