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パチンコ屋までの道を歩いていると、横からばたばたと、せわしない様子の男女がぼくの眼前に現れた。後ろ姿から察するに、高校生以上社会人未満、横を向くとラブホテル。

女性はブラジャーの位置をもぞもぞ気にしながら、肩にかけたバッグの中からスマートフォンを取り出し話し出し、それがぼくの耳に入ってくる。

「あの、時間を間違えてまして、今、家を出たところなんです。すいません。はい、はい、そうです」
そう言いながら女は男に目配せし、男の横顔には笑みが浮かぶ。

「今向かっているところです。すぐ向かいます。はい、はい、すいません。失礼します」

世の中は多少の嘘でかろうじて回っているのかもしれない。この機械仕掛けの世の中は、真実だけではぎしぎし軋む。

カップルはまっすぐ進んで行った。ぼくは次の道を曲がった。

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