パチ屋では、コインを流してもらうときに、「おてふき」を渡されることがある。無論、おてふきに含まれる水分では、あの汚れを完璧に落とすことはできないが、当店はあなたの手の汚れに気を使っています、という心配りは、人を嫌な気持ちにさせるものではない。
というように、ジェットカウンターでコインなり玉を流す際、おてふきを手渡しするサービスを行う店は多いが、どういうわけか、アルバイト店員はその作業を率先して行い、社員はその作業を嫌う、という傾向があるように思う。まるで客におてふきを渡すのはバイトの仕事だ、と言わんばかりに。
果たして、あのサービスはバイトの自主的な行動なのだろうか? いや、バイトの自主的な行動が、バイト全員で共有されるような意識の高い仕事場で、社員の意識だけが低いということは考えにくい。おそらくは、おれは社員だ、という精神的な示威行為なのだろう。立場の差を明確にしたいのだ。しかしながら、バイトには強要するが、立場が上の人間であるおれはしないよ、という自慰行為が店の運営にプラスに作用するだろうか?
あるいは、社員の行動にはメッセージなのかもしれない。おまえは客ではない。だからおまえには(おまえにだけは)おてふきなどやらん、という。
……うーむ。それは納得のいく仮説である。社員さんに一票。
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