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もうここで終わってもいい……

少年マンガの主人公は、戦いの中でそんなことを考えがち。

熱いバトルの最中に、「ここはいったん撤退だな」ということを考えられる人物は主人公になりにくい。というか、そもそも負けられる戦いが物語で採用されることは珍しい。

ロシアW杯のポーランド戦のように、負けてもいいから攻めず、カードをもらわず、塩対応で試合を終わらせてグループリーグ突破を図るという展開を物語で見る(見せられる)ことはほぼない。

読者は、物語に劇的(ドラマティック)な展開を期待する。つまり、主人公は常に負けられない戦いの中にいる。絶対に勝たなくてはいけない場面で、自分が負けたら地球が滅びるような場面で、彼らは捨て身の反撃を試みる。

彼らが負けることは読者の利益を損なう行為であり、ピンチに陥った主人公は、だからその窮地を抜けて勝利する。顧客サービスのために宿命づけられた勝利。それが、少年マンガフォーマットである。

感情というのは「あいまいさ」を嫌う。その意味で、勝ち負けは感情にとって素晴らしい指標なのだ。感情は、筋書に感動するというよりも、まず勝利に感動し、事後的に筋書、物語を肉付けするのだろう。

少年マンガを読んでいる読者は、自分の時間とお金を使って、主人公の勝利に投資している状態である。だから主人公が窮地に陥って、「もうここで終わってもいい」というようなファイナルアタックを、ドキドキしながら眺め、勝利を見届けて、安堵する。

ギャンブルや相場を張る多くのプレイヤーは、読者の気持ちで主人公の行動をしようとする。これは、事実だと思う。

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