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午前11時のブンガク

もういいや、お金を使ってしまおう。主人公はそう考えた。このまま中途半端に貯蓄を増やすよりも、いっそのことパーッと使ってしまい、ゼロからのスタート。もしくはゼロ地点までの13階段をのぼりたい。考えるのもめんどくさいしね。

が、貧乏性の主人公は、常にお金を期待値と絡めて考える節があった。どうしても、内訳が気になるのだ。外食の場合、原材料に、調理、接客、設備、土地代、という対価が加算される。500円程度の食材が2000円、3000円と膨れ上がる。ただし、自分で500円を払ってそれがつくれるわけじゃないから、納得はいく。

しかしたとえば、うら若き女性が隣に座ってくれるような飲み屋では、客の飲み物はタダだが、彼女たちにおごろうとすると、原価100円程度のものが1000円、1500円となる。これは馬鹿らしい。阿呆くさい。耐え難い。

うーむ。主人公は腕を組む。パーッと使ってしまおう、といってもなかなか使えるものではないのだった。どうすっか? 何だか悩んでばっかだな。考えたくないから金を使おうというのに、悩んでしまうとは、これはどういうことだ?

期待値とは何か。期待値とは、未来に起こるであろうことの、平均の値である。だからプラスにも、マイナスにも、振れることがある。1回1回の勝負では振れるが、その幅はプラスの範囲に収まる可能性が高い。だからスロットは勝てる。少なくとも、負けない。その戦術は、保守的なものだ。こんなことを続けてきたから、おれはこんな大人になってしまったんじゃないか?

つまらん大人である。たまらん小物である。
毎日のご飯の選択といえば、デフレ時代の勝者たるチェーン店が費用対効果に優れている。よって、牛丼にみそ汁のつく松屋がナンバーワン。何という消極的な人生だろうか。

よし、と決意して、主人公はセブンイレブンに入り、ATMで50万円をおろした。セブンイレブンを出て、向かいのファミリーマートに入る。テレレレレレーンルテレレレレン♪ という入店ミュージックが流れる中、ATMで50万円をおろす。今、主人公の右ポケットには50万が、左ポケットにも50万が入っている。ファミマを出る。何だかドキドキしてきた。高校生のような胸の高まりだった。

このお金をどう使おうが自由。守るも、自由。攻めるも、自由。すべては自分の采配ひとつなのだ。

わくわく。

つづく
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