肉体を殺すことが出来ても、魂を殺すことが出来ない者を恐れるな

イエス・キリスト
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父親の考えで、地元の公立の小学校に通うことになった。そこにもまた、ごちゃごちゃ言うやつがいた。体育の時間、50メートルを走る直前のできごとだった。彼は言った。
「おれの足は速いんだぞ」
それまで自分の足を速いと思ったことはなかった。が、その言葉はなぜかおれの胸を焦がした。そのチリチリした感情をバネに地を蹴った。一瞬で彼は視界から消えた。羽が生えたのかと思った。たとえようもないくらい爽やかな気分だった。

席替えやクラス替え、環境が変わるたびに、ごちゃごちゃが現れた。そこで行われるのは明確な権力闘争だった。衝突があり、融合があった。

もしかしたら、この世界は不安に満ちた世界ではないのかもしれない。おれは次なる目標を中学受験に定めた。そこで、予備校のテストを受けることにした。それまでテストというものに苦労したことはなかった。が、配られたテスト用紙を見て、生まれて初めてのび太くんの感覚が理解できた。ムリだ、と一瞬で悟った。どうしたかというと、なかったことにした。この瞬間に見つけた「なかったことにする」という解決方法。これがマズかった。

そんな折、自分よりも腕力のある人間に出会ってしまった。喧嘩というのは単純な腕力勝負じゃない。腕力がなくても戦う術はある。おれの足はそこそこ速い。習っていない問題を解せないレベルではあっても、頭の回転もそこそこ速い。力以外の分野で勝負すればよかったのだ。そのときのおれはどうしたか? そのゲームのような力比べを途中でやめてしまった。なかったことにしたのだ。たぶん、成り行きでつかんだジャングルジムの主の座を守ろうとしたのだと思う。ダサ笑

なかったことになんて、できるはずがないのに。

つづく
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夏休みの宿題2016