DSC_2678

上野動物園のハシビロコウさん


解かれることを望まない秘密もあるものさ。

エドガー・アラン・ポー「盗まれた手紙」

まえがきみたいなもの 

街の性感帯
1、上野公園
 

  高校生の頃の趣味は家出だった。

 その趣味を持つ前の僕はテングという生き物であった。オレアズナンバーワン。他人を見下し、そしり、何なら軽い暴力を振るう。周りの目など知らぬ、存ぜぬ、肩で風を切って歩く。しかしバブルが弾けるように、僕のテング性は爆発した。仲間にボコられ、恫喝され、ハブられたのだった。敗残兵の取る道はいくつもない。謝罪のうえ、頼み込んで末席に加わる。別のグループに属す。断固、登校を拒否する。

 僕が選んだのは第四の道、孤独に生きる、であった。茨の道だった。一人が心地良かったというわけではない。要するにプライドの問題だった。武士の子が謝るわけにはいかん。高楊枝をくわえなあかん。ということだった。バカだった。そのバカさ加減のことをプライドと呼ぶのだろうと思っていた。バカだね、ほんと。


 僕は十五歳で、間もなく十六歳が両手を挙げて迎えに来てくれる予定だった。さあ、趣味の時間のはじまりである。が、家出といっても、一人ぼっち、夜の街を徘徊するだけのことだ。何のために? さあ。ともかく、期末テスト直前の水曜日、僕は電車に乗り込んだのだった。電車を乗り継いで、山手線。なぜ、僕はこんなことをしているのだろうか。僕は誰なんだろうか。答えなんてあるわけがない。意味なんてあるわけがない。バカのすることに理由を求めてはいけない。

 二周目に突入する前に、何となく上野で下車。ほら、上野ってノスタルジックな雰囲気があるじゃん? そんな感じで不忍改札を抜け、京成上野駅の脇から不審人物のごとくゆらゆら揺れながら上野公園に入っていった。

 すでに日は暮れていた。空梅雨だったせいか、桜並木では夏を待ちきれない蝉が示威示威鳴いている。不忍池を眺め、青々とした桜並木に戻り、ぶらっと一周。広いなあ、ここが日本初の公園なのだなあ、歴史に思いを馳せてしまうよなあ。なんてことは全然なく、暇だなあと思った。階段を上って西郷隆盛の像の下から上野の街を眺めた。特に感想もないのでベンチに座った。と、すぐ横に女の子が座っていて、何て存在感のない人間なんだ、と思いつつも、「すいません」と言った。

 女の子はつけていたイヤホンを外して「はい?」と言う。

 彼女は若かった。僕と同じくらいか、あるいはもっと若いように思えた。片方の耳はこれ以上つける場所が見当たらないほどピアスで埋まり、もう片方には何もついていない。電灯を受けてくすむ黒髪ショート。赤が基調のタータンチェックのミニスカートに黒いブーツ、こんな季節なのに白いシャツに黒い皮のジャケットをはおっている。目は大きく、鼻は高く、唇は薄い。表情から感情は読めない。パーツのひとつひとつは目立つのだけど、全体として見るとまったく目立たなくなる。影と同化する。どうも。未来からやってきたロボットです、と言われても信じてしまうような超然とした佇まいだった。どう考えてもコミュニケーションを取れそうもない。が、そのことがなぜか僕の中の冒険心に火をつけていた。

「この人知ってる?」まずは意味のない質問から入った。

「この人?」像を指差して彼女は言った。

「うん」

「知らない」と彼女は言う。その後で首をかしげ、これってナンパですか? と言う。僕に言ったのではなく、僕の後ろの西郷隆盛に喋りかけるみたいな口ぶりだった。

 ナンパといえば、ナンパかもしれない、と僕は言った。

「そお」と彼女は言う。どうでもいい感じなのか、喋ってもいい、という意味なのか、判然としない。僕はもう一度振り返って西郷隆盛の像を見た。目線を元に戻すと、女の子も西郷隆盛の像を見ていた。

「この人はビジュアル系バンドでドラムを叩いてる人」僕は真剣な表情で言った。「正確に言うとだった、かな」

「そうなんだ」くすりともせずに彼女は言った。「学生?」

「うん。高一」と答えた。おお、会話が成立したぞ、と思う。

「じゃあこの辺りで年齢認証が必要なくて夜を明かせるところって知ってる?」と彼女は言う。

「んー、カラオケとかマンキツとか最近厳しいもんね」

「知らない?」

「ちょっとわかんないな」

 女の子の表情は全然変わらないが、何かを考えているようだった。少しの間があった後で「地元の人?」と言った。

「いや、違う」

「じゃあ何してるの?」

 んー、質問攻めだなあ、と思いながらも、家出中、と言った。

「どうして?」

「家の中にいると苦しくなる。酸欠みたいな感じ。だからとにかく家を出る。地元を出る」

「どこに行くの?」

「色々」

「お金はどうしてんの?」

「お年玉貯金的な?」

「ふーん」

 うーん、完全にペースを握られたな、と思った。

「私のこと買わない?」

「は?」

「タメだからイチゴーでいいよ」

 何を言っているのかさっぱりわからなかった。イチゴー? 怪訝な顔をしていると、女の子は「一万五千円。お金あるんでしょ」と言う。

 何だかすごく哀しい気持ちがした。「何でそんなことするの?」

「そんなことって?」

「身体を売ったりとか」

「いけないの?」

 いけないかどうか、僕にはわからなかった。法律的には、なんて言えなかった。黙っていると、女の子は「キミ童貞?」と聞いてくる。

「違う」

「セックス嫌いなの?」

「そういうことじゃなくて。何つったらいいのかな、よくわかんないけど、嫌悪感があるっていうか」

「軽蔑するって感じ?」

「軽蔑っていうか」

 と、女の子はいきなり両手で僕の身体を抱き寄せ、僕の顔の下に潜り込んで唇を重ねてきた。僕が動こうとすると、「動かないで」と言った。僕の胸を通して彼女の心音がはっきりと聞こえた。ロボットじゃなかったんだ。

 唐突に彼女は離れ、「ごめんね。今お巡りさんが見えたから。まだ若い警官だったし、さすがにいちゃいちゃしているカップルに声はかけないだろうと思って」無表情は変わっていなかった。

「じゃあおれは得したんだね」と言った。

「ん?」

「プロのワザをタダで受けれたんだからさ」

 嫌味のつもりで言ったのだけど、彼女はふふっと鼻で笑った。「そういう時はロハって言う方が下品でよいよ」

「ロハ?」僕は聞いた。

「そう。カタカナのロハって只っていう字に見えるでしょ。あの女とロハでやれたぜ、って感じで使うとよいよ」

「そうなんだ」

 女の子は横に置いていた、取っ手が手錠の形をしたハンドバッグからセーラムピアニッシモを取り出して、豹柄のライターで火をつけた。「いる?」と聞いてくる。タバコは苦手だったけど、もらっておくことにした。

 吸った瞬間、表面積が僕の部屋よりも広いと噂の器官、肺が妙な清涼感で満たされ、ふうと吐くと、煙がするする空に上っていった。咳が出そうになるのを堪えてもう一度煙を吸った。目の前がゆらゆら揺れている。が、態度には出さないように努めた。

「キミ、煙草吸えないんでしょ?」

「何で?」

「だって今クラクラしてるでしょ」

「ばれた?」頭を振りながら、「ふわふわする」と言った。その後でこほこほと咳き込んだ。

「うける」そう言って、彼女は笑った。


 彼女の言うことが本当だとすれば、年齢は僕と同じで、出身は北の方。中二の頃にプチ家出と称して東京に出てきて以来、ナンパされるがままに男の家を転々とし、そのうちに年齢を偽ってガールズバーで働き出した。住むところがないならオレの家に住めばいい、と店長は言った。でも、稼いだお金のほとんどをその男に使い込まれてしまう。暴力も振るわれた。暴力の後で、男は必ず優しげな言葉をかける。その繰り返しだった。堪りかねた彼女はどうにかそこから逃げ出した。それからはひっそりと息を潜めながら、時々身体を売って生活をしている。キミもね、と彼女は呟く。今はそういうこと全部を軽蔑したいかもしれないけど、そのうちそういうことを体験するよ。お金を払ってるんだから何をしてもいいんだろうって感じになるんだろうね。というよりも、お金を払うと安心するのかな。社会的地位とか世間的イメージとか色々あるからかもしれないけど。男の人は潜在的に女の人をモノとして扱いたいし、蔑みたいし、酷いことをしたいって願望があるんだ。私が今まで出会った男の人は全員そうだった。だから、キミもその予備軍だってことを忘れない方がよいよ。

「どうして」と僕は聞いた。

「自信がないからじゃない?」

「自信?」

「そう。男の人って子どもを産めないでしょ。順番を気にするでしょ。何かあるとすぐ自殺しちゃうでしょ。弱さの裏返し。そんな感じじゃない」

 同い年の女の子が遥か先を歩いていることが不思議でならなかった。僕には自分の考えも、価値基準も何もなかった。

「でもさ」と僕は言った。「中にはそうじゃない男の人もいるんじゃないかな。イチローとか」

「そういう人って男の人全体の何パーセントいると思う?」

「それは……そうかも」

「キミは非常に若いよ」と彼女は言った。「幼い。かわゆい。でも、物事を知らない」

「うーん。たしかに」

「素直だね。それが持続できれば、キミは例外になれるかもね」

「例外?」

「すべての男は王様を目指す。でも、王は負けたら終わり」彼女はタバコをくわえ、火をつけて、煙を吸い込んだ。「じゃあ、そろそろ私は行くね」

「待って」と僕は言った。「一万五千円払うよ」

「お金持ってるの?」

「コンビニでおろせばあると思う」

「でも、外でいいの?」

「それは嫌だな」

「ラブホだと安くても六、七千円はかかるよ」

「じゃあ、一万円にまけてください」

 は? まけてなんて、初めて言われたんだけど。はは。うける。彼女はくすくす笑った後、「わかったよ。いいよ。それで」と言った。
「じゃあ、行こう」彼女は歩き出し、僕は立ち上がって彼女を追った。


 コンビニのATMで二万五千円をおろし、僕たちは上野駅から山手線に乗って、隣の駅で下車した。そこは夢の住民が夢という材質でつくったような煌びやかな街が広がっていた。僕はそれまで、ラブホテルという施設に入ったことはなかった。それに、この期に及んで他人の身体を買うということがピンとこなかった。

 が、この街の全ての建物の全ての明かりの下でセックスが行われている。そう思うと、何だか色々なことがどうでもよくなった。

「ここでいいよね」と彼女は言い、軽薄なネオンが煌々と灯る一軒の建物につかつかと入っていった。自動扉の向こうの空間には、中央に台座、その上に球体が置かれた妙なオブジェが立っていて、正面の壁にはタッチパネル式の機械があった。普通のホテルと違い、スタッフの姿がない。写真を見ながら部屋を選ぶらしい。値段は六千円から一万二千円。

「安いのでいいんでしょ」という彼女の問いかけに、僕は首をこくんと傾ける。彼女は203号室のボタンをぽちっと押した。
「行こ」彼女が言った。
「うん」 

 エレベーターに乗って二階に上がる。毛羽立った絨毯の上を歩く。203という部屋番号のランプが点灯している。

「あそこだね」と彼女は言う。

 部屋に入ると、平板な音声が入り口に設置された機械から聞こえてきた。まず部屋代を支払うのだ。機械に一万円を入れると、「ありがとうございました、ごゆっくりおくつろぎください」という声と共にお釣りが四千円出てきた。誰ともかかわることなく、部屋にチェックイン。すげえな、と思う。

「じゃあ、先にシャワーを浴びるね」そう言って彼女は消えた。部屋は狭い。天井からは液晶テレビが吊り下がっていて、ベッドの脇には小さな冷蔵庫が置いてある。後は浴室とトイレ。以上。ほぼベッド。この部屋を、何か別の目的で使用する人はいないのだろう。照明は薄暗く、100万回聞いても一音として覚えられないようなうすっぺらい音楽が流れている。
 

 僕は部屋そのものといっていい大きなベッドに腰をおろし、腕組みをして考えた。この状況で勃起は可能だろうか? ということについて。ラブホに入ったはいいが、僕は完璧に萎縮している。そりゃもちろん僕だって性欲がないわけではない。中学生の頃、テング時代のような、性欲の塊、興味本位の鬼、欲望の奴隷みたいな時期は過ぎたとしても、ほとんど毎日朝立ちするし、オナニーだってしょっちゅうする。ただ、今はそういう感じではない。僕の性欲はもっと物語的なのだ。たとえば僕は坂道の多い港街を歩いている。と、目の前を歩く女性が手に持った紙袋からリンゴがひとつ落ち、それがコロコロと僕の目の前に転がってくる。僕はそれを拾い、「落ちましたよ」と言って、女性に手渡す。「ありがとう」と女性は僕の目を見つめる。信じられないくらい美しい女性だ。僕たちはしばらく見つめ合う。「どういたしまして」僕は辛うじて声を出す。「それでは」と女性は言って路地を曲がる。……女の子がバスタオルを身体に巻いただけの格好で部屋に戻ってきた。

「よーく洗ってきてね」

「はい」と言って僕は浴室に入った。頭を洗いながら、僕は今、混乱しています、と口に出した。やばいなこれは。彼女に言われた通り、念入りに念入りに全身を洗い、歯を磨き、バスタオルを腰に巻いて部屋に戻る。

「はい、ビール」と言って、缶ビールを渡された。「これは私のおごりだから」

「ありがとう」

 ビールなんか飲めねえぞ、と思ったけれど、とにかくプルトップを開け、グビグビ飲んで彼女の隣に座った。ビールの味は歯を磨いたせいでよくわからなかったけれど、炭酸がノドに当たって食道を滑り落ちる感触は心地良かった。

「ねえ、もしかして緊張とかしてる?」と彼女は言う。

「うん」

「でも童貞じゃないって言ってたでしょ」

「何ていうか、初対面の人とセックスするって意味わかんなくない?」

「もっと胸を張りなよ。キミは私を買ったの。しかもねぎって。ふふ。あ、先払いでお願いします」

「うん」と言い、部屋の隅に転がっていたジーンズのポケットから財布を出して、一万円札を彼女に渡した。

「はい。ありがとうございます」彼女はそう言って、頭を下げた。

「一口ちょうだい」と言って僕の手からビールを取り、ごくん、と飲んだ。艶かしい飲み方だった。彼女はビールを持ったまま横たわり、「こっちに来て」と言う。

 セリーヌ・デュオンが歌う、何かの映画の主題歌が流れていた。上野公園のベンチに座っていた時よりも、彼女の顔はずっと大人びて見える。おずおずとベッドに寝そべると、彼女は身体に巻いてあったバスタオルを外した。未成熟で華奢。雑誌のグラビアやエロ本に載っているような身体ではなかった。表情と身体がひどくアンバランスで、そのことが僕を不安にさせた。と、彼女は僕のタオルをも外し、僕の身体に覆いかぶさった。肌と肌が触れる。吸い付くような、滑らかな肌だ。彼女はビールを口に含み、僕の身体に少しずつ垂らしていく。そして、その軌跡をなぞるように、細く柔らかな舌で舐めあげていく。時折、びくん、びくん、と反応してしまう。制御不能の反応であるにしても、恥ずかしかった。彼女は笑みを浮かべ、ビールを口にして、僕の口の中にビールを流し込んでくる。気づくと思考はどこか違う世界に消えてしまった。勃起するだろうかとか、性欲がどうだとか、そういうことを考える間隙もないままに、もうすでにそれは立ち上がっていた。

 彼女は慣れた手付きでするすると僕のそれにコンドームを装着させ、僕の上にまたがった。


 タバコをふかす彼女の横で、僕は考えている。考えてみれば僕は彼女の名前を知らない。彼女も僕の名前を知らない。名前を知らない同士が出会ってすぐに肉体の関係を持つ。でも、お金がそこには媒介として存在しているのか。うーん。僕は倦怠と心地良さの中、感傷的になっていた。

「どうしたの? こんなもんかってへこんだ?」タバコを灰皿に押し当てながら彼女は言った。

「いや。よかった」僕は言った。「すごく。でもさ、思ったんだけど、君は別に気持ち良くないでしょ?」

「そんなことないよ。気持ち悪かったらお金もらってもセックスなんてできないよ。もちろん中には気持ち悪い人もいるけど」

「でもやっぱりセックスってお互いが良くないとダメな気がする」

「じゃあ、キミは私を満足させてくれるの?」

「できることなら」

「じゃあさ、腕枕してくれる?」

「腕枕?」

「うん。私、腕枕をされながら眠るのが小さい頃からの夢だったの」

「このひょろい腕でよければ」

 彼女は照明をおとし、僕の頬に唇を寄せて、すごくいい、と言った。僕の左腕には、ピアスのない方の彼女の耳の感触があった。

 やがて小さな寝息が聞こえてきた。僕の左腕の中ですやすやと眠る女の子からは、とても身体を売って生活をするような切実な感じが伝わってこない。これでよかったのだろうか? と考えた。わからなかった。とりあえず眠ろう。そして、明日起きたら彼女の名前を聞こう。そう思って僕は目を閉じた。すぐに深い眠りに落ちていった。
 


 目が覚めると女の子はいなかった。

 不思議とショックではなかった。何となくそんな予感があったからかもしれない。いや、違うな。左腕にじんとした痺れが残っていたからだと思う。

 何となしに転がっていたジーンズから財布を取り出してみると、お金が一円も入っていなかった。……でも、そうか。そりゃそうか。無防備に寝ている男が悪いんだろう。

 僕はシャワーを浴び、歯を磨いた後で服を着た。

 ポケットに手を入れると、紙の感触があった。ん、と思いながらその紙を手に取ると、一万円札だった。そして、一万円札には一枚のメモ用紙がはさまっていた。


 おはよ。あなたの財布の中のお金はもらっていきます。でも、これはあなたの負けじゃないから気にしないように。それから、この一万円は腕枕代です。あなたからもらったお金から出したのではありません。私のお金です。ありがとう。


 ……字が下手だな、と思った。つうか、これって身体を売ったということなんだろうか? あなたの負けじゃない、というヨレヨレの字をもう一度見た。王は負けたら終わり。彼女が上野公園で言っていた言葉が甦る。よくわかんないけど、王じゃなくていいや。僕はその手紙を、コンドームやティッシュやらを捨てたゴミ箱に放り投げ、部屋を出た。

 エレベーターを下り、誰にも会わずにラブホテルの外に出ると、夜の香りが微かに残る街の上に、嘘みたいな青空が広がっていた。




ブログランキング・にほんブログ村へ 


人気ブログランキングへ 
 

原稿用紙換算枚数23枚


あとがきみたいなもの