KIMG1676


パチ屋に入ると、専業風の二人と学生風の三人が揉めている(寿の主観)。どうやら、台取りで揉めているようである。
「こっちが先だろ?」
「は? こっちが先取ったですけど?」
「こっちだって言ってんだろ」
「いやいや」
店員がやって来る。大多数のスロットユーザーは、揉め事よりも、擦り事なのだろう。我関せず、レバーを叩いた、ボタンを止めた、……光らない! レバーを叩いた、ボタンを止めた、……光らない! という一連の動作を繰り返している。5人は店員の誘導でどこかに連れて行かれ、今がチャーンス(ドン)、と思ったけど、打つ台もなく、店の外に出る。

       777

スマホを取り出し、前日のメモを見ながらどこの店に向かおうか思案していると、
「あー誰かぶん殴りてえ」と呟きながら、高校生風の男子がパチ屋から出てきた。
ツレがふんふん、と聞き流していることが唯一の救い。パチンコに負けたのかな。お母さんに怒られたのかな。社会情勢に不安を感じてるのかな。彼が誰も殴らず、また、誰にも殴られずに済めばいいな、と思う。

       777

別のパチ屋に到着。店の前にはケルベロスのごとくスキンヘッドの老人がたちはだかり、チューハイを片手に何かを叫んでいる。何を言っているかはわからない。何語かもわからない。というか、たぶん、言語ではない。が、とにかく感情が爆発しているのはわかる。
「%&%$#”$%&’(&$$#”」
ぼくは岩渕真奈タンばりの動き出しでするすると彼の横を抜け、店に入る。

       777

打つ台が……ない。
いや、厳密に言えばなくはない。ビンゴの498だとか、モンハン月下の575だとかはある。が、打ちたい気分ではない。
今日はもういいかな、と思いながら歩いていると、ダン、という音がして、沖ドキの前で足が止まる。
見ると、ふくよかな体躯の50代くらいの女性である。
ダン。全体重を込めるように、女性はレバーに叩く。
レバーオンに比べれば控えめに、しかし、横で連チャンさせている痩身痩躯の青年の精神を削るように、ドン、ドン、ドン、とボタンを叩く。
ダン、ドン、ドン、ドン。
ダン、ドン、ドン、ドン。
ダン、ドン、ドン、ドン。

平和だな。日本は平和だな。日本は今日も平和だな。

そう思いながら店の外に出ると、ケルベロスはどこかに消えていた。

にほんブログ村 スロットブログへ


人気ブログランキングへ