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ぼくは怖がりなので、ホラーはまず見ない。ジェットコースターにも乗らない。オバケ屋敷にも入らない。驚くのはスロットの欠損だけで充分である。

そんなぼくが、ある映画を見た。

「The Best Offer」

日本語タイトルはこちら。

 「鑑定士と顔のない依頼人」

この映画を見る予定のある方は、ご覧になった後で、戻ってきてほしい。ぼくがガタガタ震えながらこの文章を書いている意味が理解いただけると思うし、そのときぼくらは肩を寄せ合い語りあうはずだ。
 
主人公はジェフリー・ラッシュ。「パイレーツオブカリビアン」のキャプテン・バルボッサである。彼が完璧な演技をする。いや、完璧という言葉はこの演技からできたのではないか、と思うくらいの完璧さ。というか、彼が完璧な演技をしなければ、この映画は成立しない。怖くもなんともないし、コメディになる可能性すらある。ただし、怖いと言っても、ゾンビが出てくるわけでも、人食い生物が出てくるわけでもない。そこにあるのは、ただただ人間の心の動きである。

当方、今まで見た映画のベストをあげろ、と問われたら、その質問は死ぬ間際に聞いてくれ、と答える(というか答えたい)キザ男である。けれど、この監督の撮った「ニューシネマパラダイス」は、限りなくそれに近い映画だと思っている。
「ニューシネマパラダイス」と同様、監督はジュゼッペ・トルトナーレが、そして音楽はエンニオ・モリコーネが担当している。翼くん岬くんばりのゴールデンコンビである。
「The Best Offer」
でもね、怖いけれど、素敵な映画です。素敵に怖い。その怖い理由を1時間くらい語りたいのだけど、そういうわけにもいかない。

何であんなにきれいなんだ。ちくしょう。何もかもが完璧なんだ。クソ。素晴らしい。こわすばらしい。略してこわい。まんじゅうこわいみたいだね。

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主人公は裕福なおじいちゃま。美術品の目利きに関しては、凄腕であることは間違いないのだけど、少し(いやかなり)悪いことに手を染めてもいる。ほんでもってものすごい豪邸に住み、で、童貞。女という女は一切無視。なぜなら彼は最高の女たち(ずばり絵画である)を所持しているから。傲慢な人物であり、友だちもほとんどいない。この男の心が、ジェットコースターのように動く。動きに動く。上がったり、下がったり。かけあがったり、墜落したり。

人間、すべてを失ったらどうなるか?

人間、すべてを得たらどうなるか?

幸せとは何か? 不幸とは何か?

幸せな過去を持つことは不幸なのか? 忘れることが幸福なのか? 

ぼくは今から酒を飲もうと思う。

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