また見つかった、
――何が、――永遠が、
海と溶け合う太陽が。


アルチュール・ランボー 小林秀雄訳
「地獄の季節」錯乱Ⅱより

P1010017


先生たちの温情で高校を卒業したぼくの前にあったのは暗闇だった。

強制から解き放たれた人間が何をするか? 何もすることなどありはしないのだった。

今まで大勢いた(はずの)知り合いは(男子も、女子も)、どこかに行ってしまったようだった。高校生としてのぼくは、限定された選択肢としては、まあまあ優秀だった。が、プー太郎(当時はそう呼ばれた)としての、無職としての、つまり肩書きゼロの人間としては、ひとっかけらも魅力的ではなかったのだ。ぼくはそう考えた。
でも、それは違う、と今は思う。みんな次のステージに進んだのだ。高校生が中学に通うことができないように、人生というゲームは、ひとつ前のステージに戻れないようにできている。ぼくがそこから動こうとしなかっただけの話だ。

ぼくは不眠症になった。というよりも、いわゆるフクロウ症候群というやつになった。夜、眠れないのだった。眠れないからマンガを読んだ。文章を読んだ。酒を飲んだ。夜が明けて、珈琲を飲んで、スロットを打ちにパチンコ屋に行った。夜帰ってきて崩れ落ちるように眠ると、決まって深夜0時~1時頃に目が覚めるのだった。

パチンコ屋に行かない朝は力尽きて眠ってしまった。起きると夕方だった。夜眠れるはずがなかった。そのくりかえし。そんな虚無と不毛のリフレインから救ってくれたのは何だった?

未来人が簡単な解決方法を教える。
時間を先送りすればいい。歳さえ取れば体力がなくなる。そうすればしんどくて起きてられなくなる。それが希望なのか、絶望なのかはわからないけどね。

それが無理なら? 眠くなるまで起きてればいい。眠りが人間にとって絶対に必要で、大切なものだとしたら、いつか、眠れる。いつか、眠れるから。

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※眠れぬ夜に深刻なことを考えてはいけない。深刻なことは起きた後に考えるべきだ。けれど、歴史は夜作られるというように、この時間、脳はチュウニ病的思考に縛られがちなのも事実。そんな時間にふさわしい、ダサい、けれど切実な言葉をお届けしたい。 飽きたら終了予定。