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時々、「バジリスク 寿」という検索でこのブログに来てくれる方がいます。どうも、バジリス寿です。……つうかまだバジリスクについてまだ語り足りないことがあるの? そうなんだよねえ。
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バジリスクを語り尽くす」みたいなカテゴリをつくっておいて、触れてないものがあった。いや、もちろん気づいてはいたんだけど、時間が取れずにいた。ほ、ほら、い、忙しかったし(もじもじ)。

でも、小説、アニメ、と来たら、マンガ「バジリスク」を取り上げないわけにはいかないじゃない? というわけで、マンガを買ってみた。いや、けっこう前に買ってはいたのだけど、読む時間を捻出できないでいた。



おいおいおい。マンガも読まずにえらそうなこと書いてたの? とお思いのみなさん。そうなの。ごめんね。
ただ、このマンガのおかげで、ぼくの仮説、天膳無限ループ説が補強されたと個人的には思った。
天膳無限ループ説とは何ぞや? とお思いのかたはこちらをどうぞ(長くてごめんね)。


マンガ「バジリスク~甲賀忍法帖~」の原典は山田風太郎「甲賀忍法帖」。シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」をたたき台にした、ファンタジーである。

シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」は、というと、ギリシャ神話「ピュラモスとティスベ」をモチーフにしたとされている。

アニメ「バジリスク」の原典は、漫画、せがわまさき「バジリスク~甲賀忍法帖~」である。つまりバジリスクはギリシャ神話とつながっているのだ。

では、バジリスクとは何ぞや? 日本でいう麒麟や獏のような、西洋における想像上の動物である。

名称はギリシア語で「小さな[1]」を意味し[2]βασιλεύς(basileus)に由来する。ヘビの王であり、見ただけで死をもたらす力を持っていると思われていた。

fromウィキ

娯楽作品は商品の側面があり、商品には「コンセプト」が必要である。「甲賀忍法帖」のコンセプトは、「甲賀のロミオ、伊賀のジュリエット」というものだった。では、バジリスクは?
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それはタイトルに現れている。バジリスク。小さな王。ヘビの王。見るだけで死をもたらす者。
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死を告げる「目」のビジュアライズ。それがマンガ「バジリスク」である。そしてそれはそのまま、互いの尾を食い合う「ウロボロス」、陰と陽、男と女、すなわち無限を象徴している。
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この目がバジリスク。

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この目もバジリスク。

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この目は猫目。夜しか使えない。だから豹馬は「夜の代役に過ぎませぬ」と謙遜するのだ。にゃあ。

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さて、薬師寺天膳無限ループ説でも語ったが、バジリスクにはキーマンがいる。
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そう。薬師寺天膳さん。
天膳の年齢は、推定170~190歳。ソースは2巻、甲賀付近の大樹を見上げて言う天膳のセリフから。
「ここに立つのも子供の頃以来 久しぶりじゃな そう ざっと百七・・八十年 この樹が まだわしと同じ背丈であったことをおぼえておる」
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キーマンは天膳。舞台はここ。藤枝宿にある無住の荒寺。闇夜に浮かぶ、弦之介と天膳、最後の戦いの場である。

残る伊賀組は目の見えない(バジリスクを封じられた)朧とノスフェラトゥ(不死)の天膳。
残る甲賀組は見えない(バジリスクを封じられた)弦之介と瀕死の陽炎。

最終決戦に進む前に、天膳の能力、蘇りの手順を文章化してみよう。

天膳、死す。しばらくは死んでいる。そのうちに、ピアス大の物体が、天膳の亡骸の耳、ちょうどピアスを開けるくらいの位置にぴくっぴくっと浮き出る。この正体こそミニ天膳。ミニ天膳の目がかっと開き、次いで口が開き、「あ・・・・あ・・あ・・」と呻き声をあげながら移動。ミニ天膳は傷口を食べていく。死の原因を治療したミニ天膳は再び耳に戻り、ピアス大になった後、体内に戻る。天膳、復活。

※最終巻の巻末、「らくがき帖」に作者によるこんな走り書きがあった。

薬師寺天膳

脳幹細胞+テロメラーゼ≒イボ天≒良性人面瘡
         ↓
 生殖細胞にのみ存在

天膳は言う。「これのおかげで・・なかなか死なせてもらえぬわ」と。
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さて、甲賀弦之介対薬師寺天膳の決戦の行方は、というと、天膳は荒寺の縁のくぼみに足をとられて弦之介に討ち取られてしまう。

これは小説をほぼ踏襲している。違うのは、このくぼみが目の見えぬ「朧」が腐った縁を踏んでしまってできたということ(原作では天膳自ら蹴った縁の板が腐っていたという不運)。

しかしアニメではこの状況が異なっている。詳しくはこちら「薬師寺天膳という男」をご覧あれ。

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ということで、結論を書こう。
この物語を動かしているのは、天膳のあれ、である。あれ? 作者せがわまさきの言うところの良性人面瘡。
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これ。

これ誰って思うよね? 以下はマンガの最終巻、天膳という存在を危惧した伊賀の頭目、お幻が跡継ぎ朧にした話である。

「天膳の身の内に巣くうもの・・」
「それは本当なら・・」
「天膳(あれ)とともに 母御の腹より ふたりの赤子として この世に産まれてくる はずのものであったそうじゃ」
「・・もし・・ 天膳(あれ)の術を破るとするなら・・」
「天膳(あれ)ともども その身の内に 巣くうものの方をこそ・・」

――あの、お婆さま? お幻の言葉がさっぱりわからない朧はそう訊ねた。

「あ いや その何じゃ・・」我に返ったお幻は苦笑する。「・・話が妙な方にいってしもうたが・・・・ 要するに天膳(あれ)の手綱はさばくのが難しいということじゃ うむ こころしておけ 朧」

朧は最終局面において、このお幻の言葉を思い出し、自らの持つ破幻の瞳(バジリスク)で、天膳を見つめる。いや、天膳ではない。天膳の身の内に巣くうあれを見つめるのだった。
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果たして、天膳のあれは、朧の目に見つめられ、抹殺される。

物語の黒幕、「あれ」とは何か。
ここからは寿の推測になってしまうが、甲賀にしろ、伊賀にしろ、そこに住む人間は、ほとんど全員戦争のためにつくられた改造人間である。たとえば陽炎は甲賀のナンバー2とも言うべき血筋ではあるが、父親がいない。なぜかといえば、陽炎の母も陽炎と同じ人間兵器であり、自らと寝た男は確実に死んでしまうからである。そして陽炎も、この甲賀対伊賀の忍術戦争さえなければ弾正の指図によって甲賀の誰かとまぐわって次世代の人間兵器たる「女性」を産む予定だったのだ。

おそらく天膳は、渚カヲルくんばりの仕組まれた子である。双子である天膳の片割れは、天膳の生命活動が損なわれたときのみ現れて、肉体を復活させる。そのためだけに生を受けたのだ。それを思えば、この天膳のセリフも理解できる。

まこと地獄と申すものがあるならば、死してこの世に生れ落ち、二百と有余年、解脱も救済も欲すること叶わぬままに、この天膳が住もうておる狭間の世こそ、まさに地獄なり。

マンガでは170~190歳だったが、アニメでは200歳を超えてる。この設定も少し違うんだね。天膳の記憶違いかもしれないけど。

自らのことをあれ呼ばわりして邪険に扱う頭目「お幻」にも含むところがあったのかもしれない。何にせよ、あれは恨んでいる。伊賀を、甲賀を、世界を。表に出られない身の内に巣くう兄弟が、家康を動かし、南光坊天海を動かし、伊賀と甲賀に殺し合いをさせたのだ。悲しみの無限連鎖。哀しき男よ。天膳フォーエヴァー。
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ここは終焉の地。安倍川のほとり(ここの名物が安倍川餅)。安部じゃないよ。2015年の漢字「安」に倍。
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お幻婆と弾正爺と同じく、
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ふたりの孫もまた、この地で没し、
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川の流れでひとつになったのだった。その瞳(バジリスク)を閉じて。
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来世邂逅。
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スロット「バジリスク」は、「甲賀忍法帖」という物語の未来(涙)。
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本編では開かなかったはずの弦之介の目。そう、天膳の戦は終わらない。



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