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いかりのにがさまた青さ
四月の気層のひかりの底を
つばきし はぎしりゆききする
おれはひとりの修羅なのだ

寿注:原文では、唾し(つばきし)

「春と修羅 (mental sketch modified)」宮沢賢治より 

年末にアメトーーク大賞を見ていて、今からお笑い芸人を目指す人は大変だなあと思った。
一言で言えば、極まっとる。と思った。あの場所で、並み居る芸人を抑え、一番目立たなければいけないのだ。あたりまえだけど、ぼくにはそのような芸はまったく思いつかない。

「第3次お笑いブームは完全に終わった」 
北野武がそんなことを東スポで語っていたけれど、たしかに今のテレビ界の構造で、トップ、すなわちヴァラエティ番組の司会を目指す道はほぼない。というか、厳しすぎる道のりである。

先日、「ぼくの余命」 という記事にも書いたが、どんな仕事も一人前になるまでには10年の月日がかかる、というのがぼくの(受け売りだけど)考えである。
かつてM-1という大会は、 10年未満のコンビ、というのが条件だった。この大会が、新人漫才コンビの登竜門、という位置づけだったからである。芸事において10年というのは、そのような区切りなのだ。

以前小藪千豊がアメトーークでこんなことを言っていた。

テレビ出てる人間は異常者ばかり。普通の人間は出れへん。
変なやつばっかり出てるから、真似するなよ子どもは。
夢なんかすぐ捨てろ。
やりたくないことをやるのが社会。
それがジャングルや。


こういうことを言ってくれる人はありがたい存在である。そう。夢なんか叶わない。絶対に叶わない。それでも世に出るべき才能は、どんな逆境からも必ず這い出てくるものである。
たとえば芸人になろうとして、誰かに弟子入りし、一人前になるまで泥水をすするよりも、動画投稿サイトでネタを発表する方が手っ取り早い気がする。
けれどどんな手段を使うにせよ、この10年という決まりは変わらない。ぼくはそう思う。
「生業」
それは効率化だとか仕組み化だとか、どんな手段を使っても抜け道のない世界である。
どんな仕事をするにせよ、冬の時代を10年過ごす覚悟のない人間に道はない。
早く売れても後で苦労する。苦労を重ねても売れる保証はない。それでもやってしまう。いや、やらずにはいられない。誰に何を言われようと、後ろ指を指されようと。
「やりたいこと」とはそういうことだと思う。

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まことのことばはうしなはれ
雲はちぎれてそらをとぶ
ああかがやきの四月の底を
はぎしり燃えてゆききする
おれはひとりの修羅なのだ

「春と修羅 (mental sketch modified)」宮沢賢治より