「日本のいちばん長い日」を読む。
今をさかのぼること72年、日本はポツダム宣言を受け入れ、敗戦国となった。これは小学校で習う知識である。しかしながら、その日がやってくるまでの大日本帝国は、陸軍であれ、海軍であれ、空軍であれ、その創立以来、個別の戦闘で敗れたことこそあれ、戦争自体に負けたことがなかった。戦況が不利なことは百も承知で、それでも神州は不滅だと信じていた。陸海空軍430万人が、特攻機1万が、海上特攻兵器3300が、日本国内いたるところで最後の一大決戦にそなえ待機しているのだった。その軍人たちが、「これ以上は戦争をやっても疲弊するだけだ。もう、やめよう。敵軍に全権を委譲して、武装を解こう」そう言って、わかった、と言うだろうか? 否。言うはずがなかった。一部の将兵たちは、戦争を続けようと、天皇の住まう宮城を占拠し、玉音放送を阻止しようとする。いかにして、日本の無条件降伏はなったのか?
負けるにも、負け方があるのだな、とつくづく思う。進むも地獄、退くも地獄、という状況下では、人間は、進む方を選びがちである。ゼンツ(思考停止)が楽なのは、麻雀でもパチンコでもスロットでも、一緒だ。ただ、どうあっても、そこでマイナスを食い止めなければいけないという状況もある。そこを逃すと破滅するしかないポイントが。
寿